めぐりあう時間たち 映画のあらすじ(ネタバレ)、英語のセリフと評価感想
THE HOURS (2002)
めぐりあう時間たち
タイトルは THE HOURS ですが、その意味する通り、遠い時空を超越してめぐりあう時間が描かれた映画です。
1920年代のイギリスの女性作家と、50年代のロスアンジェルスの主婦、現代のニューヨークの女性編集者。
この3人の女性たちの物語が同時に進んでいきながら、お互いに響きあっていくのが見ていて圧巻の物語でした。
映画のあらすじ(ネタバレあり)、英語のセリフ
この映画では3人の女性を主人公に、それぞれの一日が進行していくのですが、ここでは現代のニューヨークの編集者・クラリッサの物語にしぼってセリフを紹介したいと思います。
クラリッサ(メリル・ストリープ)は恋人であるサリーと同棲しています。
彼女は若い頃に付き合っていた元恋人であり、今は親友である詩人のリチャード(エド・ハリス)のアパートに通っています。
リチャードはゲイのエイズ患者で、彼女は何年もの間彼の面倒をみているのでした。
クラリッサは文学賞を受賞したリチャードのお祝いパーティーを開こうと張り切っています。
しかしリチャードはどうも気の進まない様子。
彼はクラリッサに向かって「僕が死んだら怒る?」と訊きます。
彼らの会話のシーンのセリフです。
末期のエイズ患者で、もう人生に希望を抱けないリチャード。
彼に、クラリッサは「お互いのために人は生きるの」と言います。
この言葉が印象的でした。
クラリッサは昔リチャードの恋人だった頃、彼のことをとても愛していたようで、彼女はその頃のことを思い出して自分の娘にこう言います。
彼女のセリフです。
dawn 夜明け
occur 起こる、心に浮かぶ
It never occurred to me
~とは思いもしなかった
夜明けに目が覚めて、夢や希望でいっぱいになった。
そしてそれが幸福の始まりなのだと思っていた。
でもそれは始まりではなく、幸福そのものだったのですね。
青春時代を振り返り、懐かしそうに言ったクラリッサの言葉が心に残ります。
クラリッサは、それ以来ずっとリチャードを愛し続けてきたことが示唆されています。
彼女はリチャードといる時間のときだけ
「生きている実感がある」 I feel I'm living と言います。
それ以外の時間は sort of silly 「ちょっとばかけて感じられる」と。
しかしリチャードはもう生きることに疲れていて、最後に死を選んでしまいます。
彼が最後にクラリッサに会い、「君を愛しているよ」と告げるシーンのセリフです。
make it 都合をつける
stay alive 生き続ける
「愛している。2人の人間が僕達以上に幸せになれることはないと思う」
リチャードのこの言葉に思わず涙してしまいました。
彼らが恋人同士だったのは、ほんの一時期だけで、それから数10年もの間はずっと親しい友人として付き合っていたのですが、心の中ではお互いを愛し合っていたことが判明します。
でもその言葉をクラリッサに告げた次の瞬間、彼は死を選んでしまう…
ひどく哀しい物語なのですが、彼の死によって、クラリッサの人生は、この映画の他の主人公たちである2人の女性とつながり合うことになります。
その繋がり、シンクロニシティに人が生きることの孤独の救いがあるように思いました。