ラースと、その彼女 映画の名言、セリフ、あらすじ(ネタバレ)
LARS AND THE REAL GIRL (2007)
ラースと、その彼女
人形の女性に恋をした孤独な男性のラブ・ストーリーです。
そういうと頭がおかしく気持ち悪いようですが、この映画の主人公・ラースは痛々しいまでに繊細で、優しい心の持ち主で、他人と触れ合うことに痛みを覚えてしまう。
彼の心が救われるためにリアル・ドールであるビアンカを必要としていたのだと思うと、とても切ない気持ちになります。
映画のあらすじ(ネタバレ)
穏やかで優しい性格だけれど、孤独で人付き合いの苦手な青年・ラース(ライアン・ゴズリング)。
兄夫婦はそんな彼を心配していましたが、ある日彼は恋人を紹介すると言って家に連れてきます。
でもなんとラースが連れてきたのは、ネットで注文した等身大のリアル・ドールのビアンカだった…
兄夫婦は動転し、ラースが気が狂っていると思って病院へ連れて行きます。
そこで医師はラースに理解を示し、ビアンカはラースの心が必要としているのであり、調子を合わせてあげることを提案します。
初めは戸惑い、気味悪がっていた兄夫婦や、町の人々も、調子を合わせてラースを見守るうちに、ビアンカを本当の人間であるかのように受け入れていくようになります。
その過程が本当に優しく、観ていて心が温まりました。
物語の進行していく中で、ラースが育った環境において、温かみのある愛情を受ける機会のなかったことが示唆されています。
それゆえ彼は人との触れ合いに痛みを覚えるようになってしまった。
ラースの孤独や痛みを知らなかった兄夫婦や、町の人々が、そのことに気がつき、彼の妄想を受け入れます。
ビアンカの存在を通して、ラースはゆっくりと少しずつ人々の輪の中に入っていけるようになります。
英語のセリフ
ラースの兄のガスが、今まで自分のことにかまけてばかりで弟のことを考えなかったと妻に言い、涙をみせます。その際のセリフです。
that thing これは人形であるビアンカのことを指しています。
母親を亡くして以来、ひどく陰気になってしまった父親のもとに、幼いラースを残して自分だけ家を出てしまった。
そのことでラースに対して申し訳なく思うガスの心情が表れているセリフです。
ぎくしゃくしていた兄弟の関係も、ビアンカの存在を通して、少しずつ心が通い合うようになっていきます。
兄嫁のカリンは「僕のことなんて誰も気にもかけない」とぼやいたラースを叱ります。
その時のセリフです。
bend over backwards to~ ~を一生懸命する
don't you dare ~ ~しないでよ
よくもまあ、といったニュアンス。
皆あなたを愛しているからビアンカを懸命に受け入れようとしているのに、私たちがあなたのことを気にもかけないなんて言わないでよ ―
泣きそうになりながらそう言うカリンのセリフに、胸がじんとしました。
ラースが、カリンや、兄や、町の人たちの愛情に触れるうちに、少しずつ人と関わることへの恐怖が和らいでいきます。
彼が心底人との繋がりを求めていて、そのために人形であるビアンカの存在が必要であったのですね。
でも本当に彼が人々と繋がって生きていくためには、ビアンカという魔法の存在を自分自身で解かなければならない…
湖のほとりでのラースとビアンカのキス・シーンは、どうしようもなく切なくて涙が出ました。
人間の男性と人形の女性の恋が、これほどまでに美しいラブ・ストーリーになるとは…!
良い意味で期待を裏切られました。