わたしを離さないで 映画のあらすじ(ネタバレ)、英語のセリフ、評価感想
NEVER LET ME GO (2010)
わたしを離さないで
キャリー・マリガン主演作品。
原作はカズオ・イシグロの同名小説です。
主人公は臓器を提供するために作り出されたクローン人間たち。
過酷過ぎる宿命を背負いながらも、それを静かに受け入れ、それぞれに自分たちの人生を真摯に生き抜こうとする彼らの姿を、詩的なタッチで丁寧に描いた映画です。
とても残酷で哀しい物語なのですが、イギリスの地方の風景や、淡々とした静かな映像が美しく不思議な余韻を残します。
主人公のキャシーを演じたキャリー・マリガンが、すばらしかった。
自分の運命を受け入れた上での静かな微笑み、寂しさや悲しみを絶妙に表現していました。
映画のあらすじ(ネタバレあり)
イギリスの静かな自然溢れる地方に建つ、寄宿学校のヘールシャム。
その学校は外部から閉ざされてどこか秘密めいた雰囲気があります。
キャシー(キャリー・マリガン)は同級生のルース(キーラ・ナイトレイ)やトミー(アンドリュー・ガーフィールド)と共にそこで育ちました。
ヘールシャムでは厳格な規律があり、特に生徒たちの健康に関しては徹底的な管理の下に置かれています。
物語が進むにつれて、ヘールシャムにいる子どもたちは、将来他の人間に臓器を提供するために育てられたクローン人間たちであることが明らかにされます。
彼らは外部の「オリジナル」の人間から複製された子どもたちなのでした。
でも彼らは普通の人間と何ら変わることのない少年少女として、繊細で傷つきやすい思春期を送ります。
英語のセリフ
キャシーはトミーのことが好きでしたが、親友のルースが彼と付き合い始めてしまい、ショックを受けます。
キャシーがそのことについて独白するセリフです。
ルースがずっとトミーのことを馬鹿にしてからかい続けていたのに、突然彼と付き合い始めてしまったため、彼女は驚きと悲しみを感じています。
teasing からかい
tease からかう
mean 意地悪な
all along ずっと
ルースはまるでキャシーにあてつけるようにトミーと付き合い出したのでした。
そのことによりキャシーはひどく傷つきます。
彼らはやがて18歳になり、寄宿舎を出て、農園のコテージに移されます。
そこで共同生活を送りますが、キャシーにとって三角関係が耐えられないものになっていきます。
ルースはキャシーのトミーに対する気持ちを知っていて、彼女にこう言います。
ルースのセリフです。
split up 別れる
he doesn't see you that way
「彼はあなたのことをそういう風には見ていない」
彼はあなたのことを恋愛対象としては見ていない、とルースは言っているのですね。
ルースの言葉に傷ついたキャシーは、1人でコテージを去ります。
まもなくルースとトミーも別れ、3人は何年も音信不通の状態になります。
10年ほど後に再会したとき、ルースもトミーもすでに「ドナー」として、2回の臓器提供を終えた後でした。
キャシーは臓器提供をした人々の「介護人」として働いています。
「3人で浜辺に行きたい」
ルースの願いで、3人は昔に戻ったように、日帰り旅行をします。
静かな海辺の景色が美しいシーン。
そこでルースは二人に
「私を許して欲しいの」と打ち明けます。
ルースのセリフです。
keep ~ apart ~を引き離し続ける
as far back as I can remember 思い出せる限り
ルースは、キャシーとトミーがお互いに心の中では愛し合っているのを知っていて、嫉妬心から二人の仲を引き裂いたことを打ち明けます。
そして、それを今正したいと言う彼女。
ルースはおそらく次の臓器提供で自分が死ぬことをわかっていて、最後にキャシーとトミーにそのことを伝えたいと思っていたのですね。
青春期特有の、残酷さと切なさ。
ルースはその後まもなく臓器の摘出中に命を落とします。
そしてキャシーとトミーは愛を確かめ合いますが、彼らにももうほとんど時間は残されていなかった…
彼らの運命のあまりの儚さに胸が締めつけられる思いでした。
でも彼らの人生の物語は、私たち自身の物語と重なる部分もあり、その短い青春期をただひたむきに一生懸命に生きる彼らの静かな表情が、いつまでも心に残っています。